シンプルに内部分析を実施するための枠組みとして4P分析を用います。

4P分析とは次の4つのポイントに関して、商品やサービスについてみていくことです。これにより、市場においてどのように商品、サービスを打ち出していくかを検討、確認することが目的です。

御社がすでに日本国内で販売している商品については、状況を把握されていると思います。ここでは、海外販売という視点から、改めて見ていく作業を行い、海外販売へ向けた足元の状況を見ていきます。

  • 商品 (Product)
  • 価格 (Price)
  • 販促 (Promotion)
  • 流通 (Place)

言い換えるならば、

「商品はどういうもので、どういうベネフィットを与えるものなのか。」

「そのベネフィットはいくらで手に入るのか。その時の利益はどうなるか。」

「商品を知ってもらうにはどうするか。」

「商品を入手(サービスを受ける)までのルートはどういうものか。」

について内容を把握していく作業となります。

商品

御社の商品が提供するベネフィットはどんなものでしょうか?

どのような商品の特徴が、ユーザーのベネフィットにつながっているのでしょうか?

また、狙っている市場と、日本国内市場との間で、ベネフィットの受け止め方の違いはあるでしょうか?

このような質問に答えていくことが、4P分析における商品分析です。

商品が提供するベネフィットについては御社自身が最もよく把握されていると思います。そのベネフィットが狙う市場でどのように受け止められるかについて、一旦立ち止まって確認してみることをお勧めします。全ての文化圏でほぼ同じ使われ方をする商品もありますが、必ずそうとは限りません。例えば包丁。使用目的は食材を切る、というシンプルな物です。日本ではまな板の上で使われますが、国によってはまな板を使わずに料理したり、一部の食材のみまな板を使ったりします。また、食材も同じではありませんので、どのような切れ味がよいかの評価基準が変わります。そもそも、同じ食材を切っても切れ味に対する評価軸そのものが違う可能性が大きいです。

価格

販売先(ユーザー、企業)ではいくらなら買ってもらえるでしょうか?

理想とする利益を乗せた場合、ユーザーに届く価格はいくらになりますか?

日本ですでに販売している場合、日本での販売価格と海外で販売する場合の価格差はありますか?

日本との価格差が販売に与える影響はどんなものがあるでしょうか?

自社からの販売額のみならず、ユーザー購買価格までを視野に入れて、原価と利益等を見ていき、価格を決めていく必要があります。例えば、日本では定価設定が標準的である業界で、定価からの掛け率ベースで卸値が決まるような場合があります。国によっては定価設定が重視されないところもあり、日本国内と同じ値付け方策ではうまくいかないことがあるので注意が必要です。

販促

商品について、どうやったら狙いの国のユーザーに認知してもらえるでしょうか?

日本で販売している事で、狙いの国でもある程度知られているでしょうか?

商品の名前は覚えてもらえやすいでしょうか?

商品を紹介するにあたって、どの言語を使いますか?

キャッチコピーや商品説明は狙いのユーザーに的確に理解されているでしょうか?

広告や、SNS上の活動でより広く、または特定のユーザー層に訴えかけるための活動が、ここに含まれます。

ウェブ上ではシェアや他社記事などへの掲載によるもの、自社でウェブサイトやコンテンツを作って実施するもの、料金を支払い特定のメディア媒体に露出させる広告などがあります。

ウェブ以外ではテレビ、新聞、雑誌などのマスメディアでの広告、道路沿いの看板広告、ポスティング、小売店店頭でのPOPなどがあります。また、消費者向けのイベント開催や、関連イベントへの協賛、業界団体主催の展示会への出展・参加などもありますね。

非常に多岐にわたる内容が含まれます。販促だけで一つの業界となっており、業界各社それぞれに高度な専門性が求められています。

このような状況であればこそ、どんなユーザーに、どうやって伝え、どうやって販売を伸ばすのかを俯瞰し、総合的にサービスを選んでいく必要があります。

流通・商流

商品をどうやってユーザーの手元まで届けますか?

そこに至るまでには、どのようなステークホルダーが関係しますか?

海外への商流を構築する際、まず最初にどこへアプローチしますか?

商品の製造からユーザーまで、実際に物(サービス)はどのように移動し(サービスが提供され)ますか?

ユーザーがベネフィットを受ける対価は、通貨の異なる国外からどのように受け取りますか?

物の流れを検討するのと同時に、誰が誰と交渉し、誰に対して売り上げを立てるのか、そして売り上げ後の回収はどのように行うのかを確実にしておかなければなりません。

グローバル取引が増え、あらゆるものにインターネットが介在する現状で、例えば支払いの流れなども大きく変わってきています。昔は国外取引時に銀行が介在して信用を確保したうえで取引をしていました。現在は、ほぼすべての通貨間での取引が瞬時にして実現する状況です。まさにここ数年で、新興国との取引についても格段に進めやすくなってきています。

輸出入に関しては関連書類の電子化、情報のプラットフォーム化が進んでいます。これにより、より簡素に処理を行えるようになっています。輸出入でお世話になる業者様がどこまでこのような効率化を実現できているかも視野に入れて商流を組んだ方がいいでしょう。

また、世界的に消費者保護の動きが強い傾向にあります。具体的な例としてはB2C取引での返品対応やクーリングオフ等です。サービスの一端として、商流に組み入れておく必要があります。

まとめ

弊社では、上記のようなかなり基本的なところを把握していく作業に重点を置きます。

核となる部分を見据えた上で、アクションを考えていきます。アクション実施のためには専門業者様の介在が不可欠になるでしょう。その選択のためにも、核を見極め、明文化しておく。この作業をするのが弊社の内部環境分析(4P分析)です。