御社が攻めようとしている市場はどんな市場でしょうか?

現在、日本市場において

  • 市場の中でどの部分(セグメント)に対して
  • どのような対象(ターゲティング)に対して
  • 競合する商品に対してどのような位置付け(ポジショニング)で

どのように販売を行っていますか?

日本で把握されている市場状況をそのまま海外市場に当てはめて考えるのは妥当ではないことが多いです。

日本市場と共通している点と違っている点を意識しながら市場を把握し、日本で有効な施策のうち使えそうなものは何か、まったく違った施策を考えなければいけないのはどういう側面かなどを検討していきます。

市場細分化(セグメンテーション)

狙いの市場を取り囲む外部環境は日本と大きく異なっています。日本は島国であるせいか、世界的に見ても少し特殊な市場環境が見られます。日本国内では、単一民族・単一言語・単一文化・単一宗教であるととらえユーザーを画一的に捉えることができるかもしれませんが、このような状況は世界的には多くありません。

国によっては人種や宗教をキーにして、市場を切り分けたりする必要が出てきます。

市場を様々な要素で切り分けていくことの目的は、自分たちが市場のどの部分を狙っていくのかを明確化することです。これによって、具体的アクションを検討する場合の基軸を据えることができ、狙いを定めたより効果の期待できるアクションにつながっていきます。

市場を切り分ける要素としては次のような項目があげられます。

  • 人口動態(年齢構成、性別等)
  • 社会的要因(職業、家庭環境、家族構成等)
  • 地理的要因(居住地別、都市別、居住環境別等)
  • 文化的要因(宗教別構成、文化背景別構成等)
  • 心理的要因(行動傾向等)

またB2Bの顧客を想定する場合は次のような項目を検討します。

  • 企業タイプ
  • 企業規模、立地
  • 従業員の構成 等

これらの点で分類しておき、その中で狙いの市場設定などを行っていきます。

目標市場設定(ターゲティング)

細分化した市場の中で、どこをどのように狙っていくかを検討するのが目標市場設定(ターゲティング)です。

目標市場設定の方法として大きく3つの方法があります。

1つ目は集中型。市場の中でのある1部分に集中して戦略を検討する方法です。ある市場に特化することで商品もその市場ニーズに対応したものとすることで、結果的には市場全体において他社商品との差別化を行っていきます。例えばポロシャツ市場を色の明度(明るさ)で黒が好き、グレーが好き、白が好きという3つの部分に分けた場合。「黒が好き」セグメントに特化していく方策です。

2つ目は差別化型。複数の市場セグメントに対して、同時に展開するという目標設定です。上記のポロシャツ市場で、「黒が好き」「グレーが好き」市場にともに適した商品を展開する目標になります。それぞれのセグメントに対応することを目標とするので、コストが大きくなります。

2つ目は無差別型。細分化した市場それぞれに対応させず、いわば汎用的な商品で展開するという目標設定方策です。ポロシャツ市場の例では、一つの商品に黒、グレー、白をあしらったものにして対応していくことを考えます。コストに対する売り上げ期待が大きくなりますが、失敗のリスクが大きくなります。

御社のこれまでのご経験、商品のタイプ等も勘案しながらの目標設定が必要です。

商品位置付け設定(ポジショニング)

狙いとする市場セグメントで、商品にどのようなニーズがあり、そのニーズに対してどういう形で応えていくかを考えるのがここでのポイントになります。

いくつかの変数を用意し、その変数の中での商品の場所(ポジション)を見極めていく作業となります。分かりやすいのは2軸上の位置付けです。

例えばポロシャツ市場で価格軸と耐久性という軸の2軸をそれぞれ高・中・低3段階で分けるとして。その9つのマスの中で自社商品と他社商品を配置していきます。

同じ位置を占めていれば価格競争になりやすい傾向に、まったく違う位置でしたら直接の競合はしないというのが視覚的に分かります。さらに、この場合に価格軸と販売数・獲得期待利益額を勘案し、それと市場ニーズが最も大きい部分とを照らし合わせた上で、自社商品にどのポジションを取らせるかを検討します。

まとめ

市場を切り分ける方法一つとってもかなり多くの変数があります。実務上すべてを検討することはできませんので、ある程度のところで見極めて決めていくこととなります。目標市場設定と商品位置付けに関しては、まず自社商品のあるべき形をイメージすることが理想です。現状の自社商品からスタートしてしまうと、制約になってしまいがちになります。しかしながら、現実的には国内で販売する商品がベースで海外販売を拡大したいという状況もありますので、理想図を描きながら、現在の商品についての4P分析などと合わせてみていくことが一つの方法です。